北朝鮮弾道ミサイル 、日本上空を通過して太平洋に落下

2022年10月4日|NHK

北朝鮮弾道ミサイル 飛行距離これまでで最長か

防衛省によりますと、4日午前、北朝鮮から弾道ミサイル1発が発射され、東北地方の上空を通過しておよそ4600キロ飛行し、日本のEEZ=排他的経済水域の外側の太平洋に落下したとみられています。
北朝鮮が日本の上空を通過する形で弾道ミサイルを発射するのは5年前の9月以来です。

今回のミサイル いまわかっていること

  • ▽最高高度は約1000キロ、これまでで最長と考えられる約4600キロ飛行
  • ▽7時28分ごろから7時29分ごろにかけて青森県上空を通過
  • ▽7時44分ごろ、日本の東およそ3200キロの日本のEEZ=排他的経済水域の外側に落下したと推定
  • ▽IRBM=中距離弾道ミサイル級以上の射程を有するミサイルと推定
  • ▽これまで4回発射の中距離弾道ミサイル級「火星12型」と同型の可能性

岸田首相 アメリカ バイデン大統領と電話会談へ

岸田総理大臣は4日夜、総理大臣官邸で記者団の取材に応じ、4日朝の北朝鮮による弾道ミサイルの発射について「断じて許すことができない暴挙で、最大限の警戒心を持って、早急な対応を図っていく」と述べました。

そのうえで、4日午後、アメリカのインド太平洋軍のトップ、アキリーノ司令官と行った会談に触れ、「改めて日米の強い意思と連携を確認し、共同訓練を行うこととした」と説明しました。

そして、アメリカのバイデン大統領と4日夜遅く、電話会談を行うと明らかにし、改めて日米両国の連携を強化するとともに、国連安保理決議に従った北朝鮮の完全な非核化に向け、日米や日韓、日米韓3か国で緊密に連携していく方針を確認する考えを示しました。

Jアラートを誤って発信 東京の島しょ部に

松野官房長官は午後の記者会見で「ミサイルに注意が必要な地域ではないにもかかわらず、東京都の島しょ部の9町村にミサイルが発射された旨の情報伝達が行われた。現在、関係省庁において原因などを確認中だ」と明らかにしました。
一方、北海道と青森県の合わせて4つの市や町で防災行政無線などによる住民への情報伝達に支障があったと報告を受けたと説明しました。
こうした状況を踏まえ、松野官房長官は「国民に対する速やかな情報伝達に、引き続き関係省庁が不断の検討を進め、国民の安全安心のため、迅速かつ的確な情報提供に努めていきたい」と述べました。

消防庁 北海道と青森県で住民への情報伝達に支障

総務省消防庁は、Jアラートの情報を送信する対象となった自治体を調査した結果、北海道と青森県の合わせて4つの市や町で防災行政無線などによる住民への情報伝達に支障があったと発表しました。
支障があったのは、
▽北海道の新ひだか町と恵庭市、▽青森県の青森市と平川市です。
Jアラートの情報は受信したものの防災行政無線で発信されないなどの支障があったということです。

楽天モバイル Jアラート送信できず

楽天モバイルによりますと、北朝鮮がミサイルを発射した際に北海道や青森県の利用者に緊急速報メールで送るはずだったJアラートの情報が送信できていなかったということです。
緊急速報メールは、災害などの際に国や自治体が指定したエリア内にいる人に対し携帯電話を通じて情報を伝えるサービスです。
送信できなかった原因はわかっておらず、会社では、情報の配信元である消防庁と連携して詳しく調べることにしています。

岸田首相 米インド太平洋軍のトップと急きょ会談

岸田総理大臣は4日午後、アメリカのインド太平洋軍のトップ、アキリーノ司令官と急きょ会談し、松野官房長官らも同席しました。

岸田総理大臣は「先週1週間で4回という例を見ない頻度で北朝鮮から弾道ミサイルが発射されたのに続き、きょうは、わが国上空を通過させる形で発射が行われた。わが国の安全保障にとって重大かつ差し迫った脅威で、国際社会にとっても深刻な挑戦で看過できない」と指摘しました。
そのうえで「日米間では、外交・安全保障当局、また在日米軍と自衛隊など、あらゆる形で連携しているが、司令官には分析や今後の日米による対応について見解を聞かせてもらいたい」と述べ、今後の対応で日米両国によるさらなる連携を呼びかけました。
そして両氏は、日米両国や韓国も加えた日米韓3か国で引き続き協力して対応するとともに、日米同盟の抑止力・対処力のいっそうの強化に向けて緊密に連携していくことで一致しました。

米ホワイトハウス「日本と韓国の防衛に対し揺るぎない決意」

アメリカ、ホワイトハウスのNSC=国家安全保障会議の報道官は北朝鮮によるミサイル発射について声明を発表しました。
声明では「北朝鮮が日本上空に長距離弾道ミサイルを発射するという危険で無謀な行為を行ったことをアメリカは強く非難する」としています。そして発射について「地域を不安定化させ、北朝鮮は国連安保理決議や国際的な安全保障の規範をあからさまに無視している」と非難しています。

また、ホワイトハウスで安全保障政策を担当するサリバン大統領補佐官が日本の秋葉国家安全保障局長と韓国のキム・ソンハン国家安保室長とそれぞれ電話会談したとしたうえで「適切かつ強力な国際的な対応について協議し、日本と韓国の防衛に対するアメリカの揺るぎない決意を強く示した」としています。

韓国国防省「ICBM発射または核実験強行の可能性」

韓国国防省は4日開かれた国会の委員会で、北朝鮮はICBM=大陸間弾道ミサイルやSLBM=潜水艦発射弾道ミサイルの技術を完成させるために発射の準備を進めているほか、核実験が可能な状態を維持しているという見方を示しました。
そして今後は韓国軍の抑止力強化の動きなどを口実に挑発の度合いを強めるとしたうえで「国際情勢の状況を判断してICBMの発射、または7回目の核実験を強行する可能性がある」という見解を明らかにしました。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20221004/k10013847211000.html