日本、エクソン撤退後のサハリン1エネルギープロジェクトに残留-ロシア設立の新会社に出資

出典:2022/10/31|NIKKEI Asia

日本、エクソン撤退後のサハリン1エネルギープロジェクトに残留を模索

モスクワの新条件を受け入れるかどうか、決断を迫られる残留投資家たち
日本は地理的に近い天然ガスの供給源として、ロシア極東のサハリン1プロジェクトに期待している。 ©共同通信社

東京–日本政府は、ウクライナ侵攻をめぐるモスクワへの国際制裁にもかかわらず、エネルギーの安定供給を求めるため、かつてエクソンが主導したロシアのサハリン1石油・ガスプロジェクトに引き続き関与することを決定したことが、日経新聞の取材で明らかになった。

サハリン1の30%の株式を保有していたエクソンモービルは、3月に同プロジェクトからの撤退を発表している。

ロシアは大統領令に基づき、プロジェクトを引き継ぐ新会社を設立し、事実上、投資家はどちらかを選ばざるを得なくなっている。

日本の経済産業省は、東京に本社を置くサハリン石油ガス開発(サハリン1の現在の運営会社の30%を所有)の出資者であり、伊藤忠商事、石油資源開発、丸紅などの他の出資者とともに、サハリン1への出資を行なっている。

日本のコンソーシアムは、他の利害関係者と協議した後、このプロジェクトに投資を続けるかどうか最終的な決定を下す。

G7は5月にロシア産原油の輸入禁止を決定した。しかし、日本がサハリン1に参加し続けることは、G7のコンセンサスに反することになる。

日本は原油輸入の95%を中東に依存しており、エネルギーの安定供給を確保するためにロシアのプロジェクトに参加することが不可欠だと考えている。

プーチン大統領は10月7日、サハリン1を新設会社に移管する法令に署名し、10月14日に登記された。プロジェクト関係者は新会社に出資するかどうか1カ月の猶予を与えられ、経済産業省など日本の関係省庁が検討を進めてきた。

エクソンモービルに続き、ロシア国営石油会社ロスネフチの一部門がサハリン1を操業する見通しだ。これまでロスネフチとインド国営石油天然ガス公社がそれぞれ20%の権益を保有していたが、今後はロスネフチとインド国営石油天然ガス公社がそれぞれ20%の権益を保有することになる。

サハリン1の操業は事実上停止している。日本はサハリン1からの原油を輸入していないため、サハリン1の権益を失ったからといって、直ちに燃料供給に影響が出るわけではない。

ロシアはサハリン2の天然ガスプロジェクトも新会社に運営を移管した。日本の三井物産と三菱商事は出資比率を維持することを決め、ロシア政府も継続出資を承認している。


Yahoo11/1(火) 11:31配信|毎日新聞

「サハリン1」権益維持へ 政府、ロシア設立の新会社に出資

 西村康稔経済産業相は1日の閣議後の記者会見で、ロシア極東の石油・天然ガス開発事業「サハリン1」について「日本政府としては、権益を維持する方針を固めた」と述べた。サハリン1を巡ってはロシアのプーチン大統領が事業を新会社に移行することを決定し、外国企業に出資を継続するかどうかの判断を迫っていた。

 サハリン1には、経産省や商社などが官民で設立した「サハリン石油ガス開発」を通じて30%を出資している。西村経産相は、原油輸入の9割超を中東に依存する日本にとってサハリン1は「エネルギー安全保障上、極めて重要なプロジェクト」と説明し、政府としてロシアが設立する新会社に出資する方針を明らかにした。  西村経産相は「民間株主の方々ともよくコミュニケーションを取りつつ、新たに設立されるロシア法人への参画同意について前向きにご検討いただきたい旨を私から伝えた」とした。商社も政府の要請に応じるとみられる。【横山三加子】

(転載終了)